東京のエプロン屋

タブリエつくってます

季節

事務所のデスクは通りに面した場所にあります。
午後のおやつどきは、毎日の宅配便集荷の締め切りで、
1日のご注文をまとめ伝票作成から梱包、ご報告・お礼メールなど、
ひとり忙しく時間に追われます。
「あぁ、もう1本電話がなったら、、もう無理!」
なんてつぶやこうとした途端に容赦なくご新規のご注文が。
まさに「忙殺」。
でも、これが商売人にとっては最もありがたいことですね。

今日は窓際からひょっこりお客様が。
お話をすると3年前に他界した母の友人で、
母親似の私に懐かしそうな顔で声をかけてくださいます。
そうそう、この場所は母がご近所から預かった不用品や、
近くにある東工大キャンパスでとった夏ミカンなどを
青空バザーを開いて販売していた場所でした。
息子である私のこともよく知っていていただいて、
初対面の私に垣根なく、私も楽しく、
小一時間ほど立ち話をしました。

遠方に住むお姉さまへのプレゼントにタブリエをご購入いただきました。
関東にも冷たい風が吹きはじめましたので、
きっとお風邪などひかぬよう、ご心配になられたのでしょう。
「これ着られるうちは元気な証拠だからね」
ありがとうございます。
大切な思いが詰まった1枚にしていただきました。

そういえば、私が10数年前に迷いなくこの事業を継承したのも、
ベトナムで生地を担ぎ必死で縫製工場を探し歩いたのも、
母親がこの商品を愛していたから。
これを着て、私自身も育ててもらい、
そのことを途絶えさせたくないという一心でした。
忘れかけていた原点を見つめ直す貴重な再会でした。