東京のエプロン屋

タブリエつくってます

手が足りない時代


先日ミシンメーカーJUKI株式会社さんの講習会に参加してきました。
「縫いの基礎コース」は縫い目形式、針、糸の知識や縫いの欠点、
縫いの6大要素(針、釜など)の知識の習得が目的です。

チャーマースのメインアイテムであるタブリエ
もともとはチャリティ活動の一環でバザーなどで販売する人形をつくる際、
婦人会員の方々のお洋服を汚さないようにと考案したものです。
50年前の創業当初は縫製も自社内でしていました。
これが商品化され販売数が伸びるにつれ、
国内縫製工場に委託するようになりました。
しかし次第に工賃もあがり、10数年前には国内の縫製会社さんが閉鎖、
急遽、海外(ベトナム)へ生産ラインをシフトし、
現在は日本とベトナムの工場を併用しています。
タブリエの生産は毎度5,000着程度の単位で進めるのですが、
年間を通じて生産を続ける資金もないため、
都度、引き受けていただける工場を探さなくてはいけません。
実際は適正な価格で引き受けていただける先を見つけるのは難しく、
少量の生産では地域の授産場に手の空いている方にお願いしたり、
仕事が終わった後、自宅に持ち帰って裁断をしたり
家庭用ミシンで可能な範囲で修正や特注品などを仕立てたりしています。
この仕事を続けて13年が経ちますが、売り先を探して歩いたことは一度もなく、
いつも入荷を待っていただくお客様に恵まれてきました。
気がつけば木幡をかかえ作る場所を探しまわるのが仕事になっていました。
日本にはこういう商品をつくる仕事がたくさんあると思います。
けっして儲かる仕事ではありませんけどね。
時代の流れで継承者のいない国内工場の閉鎖が続き、
ベトナムミャンマーなど、ものづくりの海外シフトは加速しています。
50年という時間を単位に自らを据えてみると、
これからは回帰させられることも数多くあるように思います。
ほんの少しばかり、はやくあちら(ベトナム)を経験してきた立場から、
今、私たちの世代でなされるべきことが身近にあるように思えてなりません。

さて、講習会では専門テキストを使い、
その道のプロの方から丁寧に教えていただきました。
10年以上、生産性と品質を追い求め、
縫製現場に出入りし、知っているつもりであった一連の流れ。
見ているのとやってみるのではこうも違うのか、、、、
私には学んでこなかったことがたくさんあり、
最後の実習クラスでは穴があったら入りたいほど、
恥ずかしい気持ちでいっぱいになりました。
良いモノづくり。
それは針子さんのやりがいがあってこそですね。