東京のエプロン屋

タブリエつくってます

NHKで連続ドラマ小説「カーネーション」の再放送が始まりましたね。
6年前の放映時、この作品を観て非常に感化されまして、
それまで洋裁の趣向、経験も全くないのに1年後には松本にひとり作業所を開いていました。
東北で大震災があったことや海外工場での量産加工に課題を抱えていたことで
長年のお付き合いがあるユーザーさんから寄せられる声に対応できない悔しさが募るさ中に出会ったのが、
このドラマの主人公が力強くミシンを踏むシーンでした。
松本でプロ用ミシンを触れる洋裁講座に通ってみたり、
ネットオークションで古い工業ミシンや道具を買って直して、
今では自前で裁断、縫製したタブリエを百貨店さんの棚にも並べているのですから、感慨深いものです。

あの頃に感じていた数々の難題はトンネルは通り過ぎてみるとすべてが私自身の夢だったんですね。

ユーザーさんから預けてもらった修理品を中心に、下手の長糸使いといいますが、
お蔭さまでミシンの修理と糸解しは相当な技量レベルに達しています。

さて今週末はそんな夢のつまった松本作業所に滞在しています。
作業の合間をみつけて洋裁教室を通じ知り合った隣町、塩尻の方から預かったミシンの整備をしました。
日本国内で製造された昔のミシンはとても丁寧につくられていて、ほとんど動かなかったこちらのミシンも、
各所バラシして洗浄、組みなおすことで基本的な動きは新品同様にもどりました。
直線縫いミシンで不良原因に多くみられるのは英語でLoop Takerと呼ばれる釜部分(ボビンケースをいれるところ)と
押え上げから糸調子までの機構をつなぐピンの固着です。
部品の組み直しには位置決めにコツを要する場合もありますので、
まずはDIY売場で手に入るスプレー式のパーツクリーナーで内部洗浄をかけて状態の悪い箇所を特定すると効率的です。

ミシン油を注して一晩おいてから動作確認して完了です。
きれいな縫い目でまたたくさん踏んでもらえるようになるといいですね。