東京のエプロン屋

タブリエつくってます

手先の世界

今日のリメイク
お待たせしていたお仕立て受注分もようやく出荷できまして、

昨年末からお預かりしたままになっている修理品に取り掛かっています。

15年程前に販売した茶色の小花柄、

ミセス通販さん限定のフリーサイズで

着丈はL/M寸の中間です。

 

幸いダメージがなかった襟首周りを残し

他は全て解して水通してから、仕立て直し。

 

課題であったのは裾部分
ユーザーさんも気づいていなかった右後ろに恐らくストーブ熱と思われる穴が開いてしまっています。裾下部分4cmほどですので通常であれば生地端をおとし丈夫なところを縫い合わせるのですが、ユーザーさんからこの着丈がちょうどよく気に入っているとのお声を最初に寄せていただいていましたので、非常に困りました。


タブリエに使用しているタフタ生地は丈夫で極細の繊維から精錬されていて非常に丈夫でしなやかな着心地を生んでいるのですが、反面、繊維そのものが吊って生地端から痛みが進行します。その為、袖ゴムの入り口などもしっかり封締めすることで5年、10年の使用にも糸のほつれが出ないようしています。

 

さてさて本日仕上がったこの1枚。

解決策は「手先の加減」でした。

裾を着用時カーブを保てるギリギリで巻き込み、

傷みの出ている箇所を裏側へ収まるよう始末。

 

この色番を生産した当時、ベトナムの縫製工場で生産管理をしていた自分は生産効率化を目指して200人ほどの針子さんたちを指揮していました。今、こうして長野の作業所でひとり、16年前のあの1枚を解すことになるとは夢にも思いませんでしたが、私たち人の営みにおける手先の重要性についてあらためて気づかされています。

 

余談ですがウチの製品(タブリエ)でいうと縫製加工地は日本製よりベトナム製と表示してあるものの方が品質は格段に高いです。チャーマースは20年ほど前に一度生産をやめていますが、その時助けてくれたのはベトナムの友人たちでした。私自身も学生時代の90年代初めから現地に入り浸り、様々な土地を歩いてみて手先の仕業というものを学びました。いつかまた胸を張って日本製ラベルをさげられる国づくりをしたいものですね。

 

年越しの1枚に感謝。

何より大切にしていただけるから頑張れます!

またいつの日か会えますように☆

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