東京のエプロン屋

タブリエつくってます

解しタイム

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シーズン中、日中は電話応対から縫製や検品仕上げ作業が途切れず、夕方の出荷を終えるとそのまま日課のプール通い。

 

帰宅し夕飯とって一休みしたら自由時間です。納期の無い修理品が入っているダンボールから1枚とって、2時間ほど縫い糸を解していると、これも仕事の一環なのですがとても頭が整理されて楽になります。

 

海外工場で大量生産をしていた時期を含めて20年ほど、縫製現場をみてきた経験からすると、解しができない人に縫製は向いていないと断言できます。もともと管理する立場から入りましたが、先にそのことに気づけていたお陰もあって私の場合もこの解し作業の繰り返しでいま身についている洋裁技術のほとんどを習得しました。手がつくれていなうちは1の失敗をリカバリー(解し)に10以上の手間を要します。それでも続けていれば次第に8から5へ、根気がつく頃には同じテンポ(1:1)でこなせるようになり、解すこととつくることの境がなくなります。

 

経糸緯糸も縫うときにはさほど意識しませんが、解すときはその関係がとてもよく見えます。余談ですがタブリエを使ったことの無いお取引先売り場の店員さんに、「チャーマースさんの生地(ナイロン)とビニールはどう違いますか?」と尋ねられたことがあります。「ビニールは解せません」とだけ私は答えました。

 

使う道具は糸切ハサミと目打ち、あとクズ取りのクルクルだけ。どれも100円ショップで手に入るものですが使い慣れると万能です。捨てられないお洋服、一度解してみませんか?

手先の世界

今日のリメイク
お待たせしていたお仕立て受注分もようやく出荷できまして、

昨年末からお預かりしたままになっている修理品に取り掛かっています。

15年程前に販売した茶色の小花柄、

ミセス通販さん限定のフリーサイズで

着丈はL/M寸の中間です。

 

幸いダメージがなかった襟首周りを残し

他は全て解して水通してから、仕立て直し。

 

課題であったのは裾部分
ユーザーさんも気づいていなかった右後ろに恐らくストーブ熱と思われる穴が開いてしまっています。裾下部分4cmほどですので通常であれば生地端をおとし丈夫なところを縫い合わせるのですが、ユーザーさんからこの着丈がちょうどよく気に入っているとのお声を最初に寄せていただいていましたので、非常に困りました。


タブリエに使用しているタフタ生地は丈夫で極細の繊維から精錬されていて非常に丈夫でしなやかな着心地を生んでいるのですが、反面、繊維そのものが吊って生地端から痛みが進行します。その為、袖ゴムの入り口などもしっかり封締めすることで5年、10年の使用にも糸のほつれが出ないようしています。

 

さてさて本日仕上がったこの1枚。

解決策は「手先の加減」でした。

裾を着用時カーブを保てるギリギリで巻き込み、

傷みの出ている箇所を裏側へ収まるよう始末。

 

この色番を生産した当時、ベトナムの縫製工場で生産管理をしていた自分は生産効率化を目指して200人ほどの針子さんたちを指揮していました。今、こうして長野の作業所でひとり、16年前のあの1枚を解すことになるとは夢にも思いませんでしたが、私たち人の営みにおける手先の重要性についてあらためて気づかされています。

 

余談ですがウチの製品(タブリエ)でいうと縫製加工地は日本製よりベトナム製と表示してあるものの方が品質は格段に高いです。チャーマースは20年ほど前に一度生産をやめていますが、その時助けてくれたのはベトナムの友人たちでした。私自身も学生時代の90年代初めから現地に入り浸り、様々な土地を歩いてみて手先の仕業というものを学びました。いつかまた胸を張って日本製ラベルをさげられる国づくりをしたいものですね。

 

年越しの1枚に感謝。

何より大切にしていただけるから頑張れます!

またいつの日か会えますように☆

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りんご便

すでにチャーマースや婦人会の方にご利用いただいているりんご便

世情を鑑みて一般のユーザー様向けにも販売をはじめてみることとしました。

長野県松本市で身内が代々営む果樹園(和梨・洋ナシ・ぶどう・りんごなど)で昔ながらの栽培を続けています。

私も補助作業が必要な時期は早朝からお昼時まで、畑にでてお手伝い。

春夏秋冬、さまざまな影響をうけて仕上がる今年の味です。

首都圏ほか当方都合にあわせられる範囲、可能な限り配達いたしますので、

よろしければ配達日程ご参考にしてみてください。

よろしくお願い致します。

 

果樹栽培の記録はこちら

https://www.facebook.com/orchardjapan

 

ご注文はこちらから、

特設ページですのでウェブショップ内商品カテゴリーに商品陳列はございません。

お手数ですが下記リンクより直接お越しください。

charmeurs.jp

作業所のはたらきもの

お陰様で無事に新年を迎えることができました。

精練と染色工程が滞り新しい生地の入手ができずにいますが、

海外工場へ一度輸出した生地を逆輸入したり、

市販されている無地のナイロンタフタを組み合わせたりと、

制限あるなか工夫をして需要にこたえられるよう取り組んでいます。

 

実はリーマンショック~東北大震災後にかけて

モノづくりができなくなる経験をしていまして、

今回の(原料入手ができない)ケースとは異なるのですが、

やはり、いや今以上に路頭に迷った期間が数年ございます。

その時期、私がとった行動はひたすらに歩くこと。

毎朝早朝に起きて自宅から事務所へおよそ7キロ、

夕方は日課にしている水泳に目黒か砧のプールまで5~8キロ、

そこで泳いでから帰宅までと延べ概ね20キロちかく、

1日の4~5時間は歩いたり泳いだり。

そんな生活を5年ほど続けていました。

正直なところ、それくらいしかできることが見当たらなかったのですが、

商売基本は体力勝負、いつかトンネルを抜けたときに

先ずもって必要になることは”元気でいる”ことなのです。

 

余談ですが距離感というのは数か月も続けると

それが日常の行動範囲=物差しとして身につきます。

これは学生時代、陸上部にいて長距離部(私は短距離)の出場する駅伝試合で、

他校にいたアフリカからの留学生ランナーの話を聞いたとき、

「この距離(17~22キロ)というのはコンビニに買い物へ行く感覚なんだよ」

ということを耳にして驚愕しました。。。

 

毎日歩くと当たり前ですが交通費が確実に浮きました。

僅かなようですが、でもよくよく考えるとその時間労働に就いて、

うちみたいな零細企業が純利として稼げるかどうかのラインです。

すくなくとも消費をするよりは余程身のためになるなと感じました。

 

そんな過程を経て、自前の国内作業所をふたたび持つこと、

自分ひとりでもモノづくりを成り立たせること、

停電でも足踏みミシンで、、、といった現状に至るわけです。

 

前置きながくなりましたが、

年末に間に合わなかったお仕立て作業をしている傍ら、

手近なところで感心したはたらきものをご紹介。

 

〇湧水

お預かりした修理品を解す前と後、作業所内にある湧水に数日間晒しますと、

タフタの目詰まり、経年使用で生地にかかったバイアス(特に縦方向)が整います。

 

〇みかんの皮

もみもみしてハンドクリームとして使っています。

作業所のある松本は非常に乾燥していまして、

加湿器を回したり湿度の下がりづらい灯油の暖房にしても間に合いません。

タブリエに使われているナイロン繊維はストッキング並みに極細ですので、

指先の手荒れでも端布から経糸がつられてしまいます。

縫製作業をするときにハンドクリームを使うわけにもいかず、

以前は濡れたタオルで手を湿らせながら縫ったりしていたのですが、

いろいろと試した結果、これにたどり着きました。

ほどよい摩擦係数が得られて手先作業をするかたにお勧めです。

 

自分の足で移動して、自分の手でつくる。

結果、身の回りにあるものの使い道が開けてくるものです。 

限られた時間、あるもの工夫して豊かな1年にしてゆきたいですね。

本年もよろしくお願い申し上げます。

 

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ソーイング・ビー2の楽しみ方 ~洋服を英語で~

待ちに待ったシリーズ続編が始まりましたね!

今年は特に室内における催し(洋裁クラス)が出来なくなったこともあり、

おしゃべりしながらの手仕事(&ランチ)タイムが懐かしく感じていました。

 

シリーズ2は基礎技術も上がり製品づくりに携わる者としても、

毎回勉強になるシーンがたくさんあります。

とくにリメイクやデザインおこしを限られた時間で立体化する一連の流れは

遠く離れた日本の地で「洋服」を知る貴重な機会だと思います。

 

ルームを去ってゆく場面が近くづくと胸の詰まる思いをしてとても辛いのですが、

個人的には私自身にちかいおっさん参加者を応援してしまいます。

そんな一押しのプログラム、おすすめの楽しみ方があります。

 

それは「副音声」!

現地放送そのまま、生の英語で観られます。

録画して先ずは日本語、2度目は英語、3度目は切替ながら観ています。

衣食住、生活における言葉の中でも衣料を語るシーンでは

馴染みやすい語句や言い回しに触れることができます。

また用途があってのイディオムというものが英語では多用されますが、

日本語圏の私たちが本などで学ぶには限界があって、

3人称となると日本語ではどこかで聞いた話みたいになって

とたんに時空が失われてしまいがちです。

 

この番組では参加者一人一人、または複数に対して司会者がひとり居て、

そこに評価者がふたりという設定です。

たとえば評価者の一人がダメ出しする作品へもう一人がフォローするときに

”however”からはいるときあたりでは、つい、

「そうだそうだ!!」なんておもわず口にして応援してしまいます。

 

番組は週に1回ですが日中に再放送もされています。

是非ご覧になってみてください。

あ~私もいつかミシン一つ抱えて洋服の本場へ行ってみたい。

 

(以下、NHKウェブサイトよりSNS向けリンク転載)

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忙中有閑

時の流れに身を任せとは言いますが、

当然、人生にはいろいろありますね。

今日は趣向をかえて作業所の風景をお届けします。

お仕事ですのでそれが暇をとるようなことであってはいけませんが、

日々時間を過ごすにも行と業といったちがいがありますように、

ある時には意識をもって閑を得たいものです。

松本作業所では音楽教室を併設していまして、

耳をすませば生徒さんのレッスン音が聴こえてきますよ。


tablier縫製~袖口

防護服再考

ずっと気になっていながら抑えていましたが、

やはり専業者として発信しておきます。

 

うちのユーザーさんならば気づいてもらえていることと思いますが、

タブリエの設計がめざずところは防護服そのもの。

公衆というのは奉仕をする場でもあって、

そこでの衛生を考えるとき、

大切なのは汚れを運ばないことです。

そして着用者が疲れないことも追及されるべきです。

何故なら着衣によって体力を消耗したり、

体温維持ができず結果、発汗などを引き起こしては元も子ありません。

 

しなやかであること。

平滑で摩擦につよいこと。

毛皮との電子極が等しく帯電性が近いこと。

熱に強く発火性が低いこと。

 

そしてどうしてもなおざりになりがちなのは、

おしゃれであること。服ですから。

 

大きなメーカーさんや異業種さんが生産をはじめると聞きます。

是非、ちゃんとしたものをつくっていただきたく、

ご参考にしていただければ幸いです。