東京のエプロン屋

タブリエつくってます

チャーマース ウェブショップ閉店のお知らせ

Webショップ閉店のお知らせ

日頃からチャーマース製品をご愛用いただき誠にありがとうございます。

お陰様でタブリエは発売61年目を迎えることができました。私が先代からこの事業を継承したのが24年前、当時は国内アパレル産業が衰退しモノづくりと経営双方に問題を抱えての再スタートでした。主力のタブリエはユーザー様に大変恵まれて、シーズンになると商品お問い合わせの電話やお手紙が来ない日は1日もなく、売る為の営業活動ということはした記憶がございません。その一方で国内だけでは需要をみたす生産体制が構築できず、2001年にはベトナムへ加工地を求め、サンプル作成用の反物2本を担ぎ、ホーチミンハノイと10数か所の工場を訪ね歩いたのが、昨日のことのように思い出されます。現地で一生懸命になって助けてくれたのは学生の頃バックパッカーで訪れた時からの友人でした。私もこの友人がいたからこそ、日越間での産業を一心に目指しました。

しばらくの間、国内で精練・染色加工をした生地をコンテナ輸出し、現地で裁断縫製加工、再びコンテナ輸入した製品を国内検品し納品という流れを組んできましたが、ベトナムの経済発展は戦後日本をはるかるに上回るスピードで、工業ミシンを並べる縫製工場もあっという間になくなりました。10少し歳のはなれた友人も体調を崩しはじめるなかで、おもに汚れや縫糸の始末といった製品不良が数件つづくようになりました。クレームをいただいたお客様を直接訪問し、不良が起きた原因説明をしているとき、ふと我にかえる瞬間がありました。納期やコストばかりに気をまわして、うまくモノができないでいる理由を探している自分自身が、目の前の袖先ひとつ直せないでいることに気づき、本当に心底恥ずかしくなりました。

2011年の震災をきっかけに国内での内製化を目指し、長野県松本市に作業所をかりて自身でも縫製加工を習得しましたが、一方で国内精錬会社のご担当が毎年入れ替わり、ついには発注問い合わせのお返事がいただけなくなりました。最後に染色していただいた生地在庫も昨年には終了し、現在はわずかに残された製品在庫のご案内と主に修理品の対応のみとなっております。

また時代がうつれば染色業界、仕入れ先企業さんのディレクションもかわるかもしれませんが、いまは無理にモノづくりをお願いすることもしないでおこうと考えています。

思い返せば、ひたすらモノづくりができずに戦い続けてきた24年間でした。すべては私ひとり、経営者の力不足と捉えています。販売できる商品は限られますが、いままでどおり電話やお手紙でのお取引は続けてまいりますので、お困りのことがございましたら製品縫い付けの連絡先へお気軽にお電話ください。

2024年1月末日 チャーマース 代表 安倍勇人 拝