東京のエプロン屋

タブリエつくってます

すべては1本の繊維から。


全国的に猛暑日が続きます。
湿度変化による体調不良が出やすくなりますので、
乾きやすく通気性の高い生地の着用をお勧めします!

今週は旧盆ということで松本作業所からは仕事をひきあげ、
東京でのんびり過ごしています。
こちらでのお盆は7月にすんでいますため、
街中には人も少なくなって屋外区民プールへの大通りも、
自転車でこの土地に吹く風に当たりながら走行できます。
小学生の頃からずっと通い慣れた道ですが、
いつも見つけもののができる、私にとって不思議な道です。

少し前になりますが「Dior and I(ディオールと私)」という映画を見ました。
伝統的なオートクチュールハウスに責任者として抜てきされた
若手デザイナーがコレクション発表までのステージで苦悩し、
融合されていくドキュメンタリー作品です。
劇中、主人公がつかう≪Warp-Print≫という言葉が気になって、
休憩をはさんで2回連続して見てきました。
そして帰宅してから辞書やネットでいろいろ調べてみました。

[Warp]は英語でたていと(経糸)の意味で機を織る際に
縦方向に予め張っておく糸です。
それに対してよこいと(緯糸)は[Weft]または[Woof]です。

Warp-Print≫は直訳すると経糸捺染となります。
日本ではほぐし織りとして代表的なかすりの一種として
その伝統技術が受け継がれています。
仕上げる工程上、先に経糸捺染を行いますので、
日本語のよこいとが抜き糸を意味する
緯糸
と表記されることに関係しているのかもしれません。

映画では主人公と同じく新進気鋭のスケッチを
伝統的なコレクションの生地柄に取り入れる術として
この≪Warp−Print≫に着目します。
既製服を消費し続けていると忘れがちですが、
そもそも被服とは1枚の布をまとうことで、
その1枚の布を構成するたていととよこいとの表情は、
ファッションプレゼンテーションの意義を暗示しているとも云えます。
日頃、使っている生地には何かしら糸の経緯があって、
その生地を縫い合わせるのにもまた撚糸が使われていたり。
私たちが人として何かにめぐりあって、
限られた時間の内にその関係の本質までを理解できることは、
実はほんの僅かな1面だけなのかもしれません。
静かな目黒通りの上り坂を登りながら
今日はそんなことを感じていました。

≪番外編≫
どうしておなじ緯糸でWeftとかWoofと単語が異なるのか??
気になりますよね!!
英語の辞書サイトでは一般的に「Weft」を用いるよう奨めているようなのですが、
社会構造とか人間関係といったより抽象的な事象を指すときは「Woof」、
このほうが言葉の由来(?)に寄り添った使い方であるようです。
あわせてこちらを参照していただくと挿絵もあって
経糸のこともより深く理解できます。
https://en.wikipedia.org/wiki/Warp_and_woof
映画の方も是非!!