東京のエプロン屋

タブリエつくってます

時間の物差し

ウチ会社にはエプロンの販売と、もうひとつ、
ジュエリー事業部があります。
以前、引退を控えた、とある社長さんからの縁で、
宝飾関連の事業部を譲り受けました。
主にブランドさんと工場との間に立って、
生産管理、地金&宝石支給、検品、アフターまでを、
サポートするテーブルメーカー機能になります。

あいにく、事業継承を受けた時期から
地金価格は高騰し続け、新規の生産案件はほとんどありません。
また、原料価格とは反比例して低価格化が進んでいる中では、
ブランドさんによい商いをしてもらえる可能性も難しいので、
提案も控え、新規で相談を受けてもお勧めしないようにしています。
そういう時期もあるのです。

とはいえ、アフターメンテナンスという大切な仕事があります。
先日も15年ほど前に生産した指輪が、
取引ブランドの売り場さんを通して持ち込まれました。

銀地金でロジウムメッキなどもされていないタイプ。
カボションカットの石が覆輪留めされた愛らしいリングです。
長年の使用で台座がゆがみ、石が外れてしまいました。

拡大するとご覧のとおり覆輪が歪んでいます。
一度、石をはずし、綺麗にクリーニング。
大切にしているオーナーさんだから、
きっとまた10年20年と持ち続けてくれるはず。
そういった時間の物差しで仕事をします。


石を傷めないよう、且つしっかりとかぶせていきます。


サイズ棒で腕の形を整えながら、磨きます。


裏側も軽めにですが磨きます。


Gracious, precious and it's fragile.
また安心して長く使ってもらえますように。