東京のエプロン屋

タブリエつくってます

今回は愛用している作業台をご紹介。

松本作業所では生地裁断から縫製、仕上げまでを行っていますが、
作業の中心で大活躍しているのがこちら、布張りの作業台です。
適度な摩擦がチャコひくのにちょうどよく、
マチ針も通せますので生地を重ねて固定しながら裁断したり、
熱セットなど簡単なアイロンをあてることも可能です。

作り方はホームセンターで手に入る板を袋状に仕立てた布で覆うだけ!
板は好みと予算にもよりますが、ウチの場合は一番安い合板(少し厚め)を使っています。
毎日の掃除は洋服ブラシで簡単ですし、
生地に撥水加工がされていれば雑巾がけもできますよ。

おすすめの布地はナイロン(3〜40%)と綿の合繊ツイル、
縦横に数パーセントのストレッチがあるものならば、
板サイズより小さめに仕上げればフィット感も抜群です。

店頭ではポリエステル合繊の方が手に入りやすいかもしれませんが、
毛羽立つ原因となりやすいウール地などを扱うには電子極性の差から
帯電量が増しやすく静電気をひき起こしますので不向きです。
逆にポリエステルやアクリルなどの素材をメインに扱う場合、
ナイロン合繊は避けるか、帯電防止処理のされたものをお勧めします。
参考までに人体の電子極性(+帯電性)にもっとも近い化学繊維はナイロン(ポリアミド系)でして、
冬物のウール地などと擦れ合う状況下で使われるストッキングなどにおおく使われていますね。

気に入ったパンツは繰り返して履くものでよく穴が開きます。
運動不足でキツくなったところが破れているようにも見受けられ、、、。
松本の作業所には職業用、工業用と直線縫いのミシンが揃っていますが、
傷んだ生地をたたくには家庭用ミシンが使いやすいです。
ジグザクにではなく、直線と返し縫いを繰り返しながら、
布地をスライドさせて糸をたたきいれるイメージで縫っていきます。


(上の写真)最初の修理が4年前、あちこち直しているうちに丈夫なパンツ(下の写真)が出来てきました。
前の補修箇所もデニム地が色落ちした分は上から薄い色糸をたたけばOK。
糸色と番手を工夫して風合いを出してみるのも楽しいですよ。
さぁ、あとは履いて汚して、完成です!

アーミッシュスタイルのタブリエ

母の日オーダーも納品を完了したところで、お楽しみの録りためたNHKカーネーション」を観ていますと、
5年前に家庭用ミシン1台積んで松本で縫製業をはじめた頃が遠い昔のように感じます。
裁断台もなく裁ちばさみも100円ショップで買ったもの、そもそも道具の名前さえ知らなかったです。
いろいろなモノがなかったなぁ、と懐かしんでいたところ、「!!」っとひらめきがありまして、
早速、仕立ててみました。

エストリボン位置で上下に切り替えをつけアーミッシュスタイルのタブリエ完成です!!
これならお世話になっている松本での果樹園作業などでも喜んでもらえそうです。

通気性の高い撥水加工無しのタフタ地でノースリーブを仕立てました。

無地の長袖タブリエは屋外などでの作業も想定し撥水加工を施していますが、
こちらの使用生地は定番のプリントタイプ(長袖&袖無し)と同様の風合いになります。
同じ生地で長袖もお仕立て可能ですのでご希望の際はお問い合わせください。

限定品のご案内

チェック柄のノースリーブと撥水タイプの長袖タブリエが仕上がりました。
いずれも数量に限りがございますがご参考にしていただければ幸いです。
(チャーマースのウェブショップ会員様限定でご購入いただけます)

今日は塩尻市に出かける用事がありまして、
夕方に義父母が手掛ける梨園に寄り道してきました。
いまのところ霜も降らず画僧のとおり無事に開花、和梨はちょうど受粉作業が始まったところでした。


昨年、摘花作業からのお手伝いでしたが、今年は開花する過程から学ぶことができたので、
落葉果樹の受精プロセスがわかり、この時期までの剪定と摘蕾作業の必要性がよく理解できました。
少しだけ剪定中の洋梨の枝拾いを手伝って、おみやげに蕾のついた剪定枝をもらって帰りました。

NHKで連続ドラマ小説「カーネーション」の再放送が始まりましたね。
6年前の放映時、この作品を観て非常に感化されまして、
それまで洋裁の趣向、経験も全くないのに1年後には松本にひとり作業所を開いていました。
東北で大震災があったことや海外工場での量産加工に課題を抱えていたことで
長年のお付き合いがあるユーザーさんから寄せられる声に対応できない悔しさが募るさ中に出会ったのが、
このドラマの主人公が力強くミシンを踏むシーンでした。
松本でプロ用ミシンを触れる洋裁講座に通ってみたり、
ネットオークションで古い工業ミシンや道具を買って直して、
今では自前で裁断、縫製したタブリエを百貨店さんの棚にも並べているのですから、感慨深いものです。

あの頃に感じていた数々の難題はトンネルは通り過ぎてみるとすべてが私自身の夢だったんですね。

ユーザーさんから預けてもらった修理品を中心に、下手の長糸使いといいますが、
お蔭さまでミシンの修理と糸解しは相当な技量レベルに達しています。

さて今週末はそんな夢のつまった松本作業所に滞在しています。
作業の合間をみつけて洋裁教室を通じ知り合った隣町、塩尻の方から預かったミシンの整備をしました。
日本国内で製造された昔のミシンはとても丁寧につくられていて、ほとんど動かなかったこちらのミシンも、
各所バラシして洗浄、組みなおすことで基本的な動きは新品同様にもどりました。
直線縫いミシンで不良原因に多くみられるのは英語でLoop Takerと呼ばれる釜部分(ボビンケースをいれるところ)と
押え上げから糸調子までの機構をつなぐピンの固着です。
部品の組み直しには位置決めにコツを要する場合もありますので、
まずはDIY売場で手に入るスプレー式のパーツクリーナーで内部洗浄をかけて状態の悪い箇所を特定すると効率的です。

ミシン油を注して一晩おいてから動作確認して完了です。
きれいな縫い目でまたたくさん踏んでもらえるようになるといいですね。